恋花火

『痛い…っ…』

先輩の顔は切ない。
あたしをそっとだきよせて…
【ごめん】
って。
強く抱き締めて…
ひたすら謝ってた。

謝るくらいなら…
どうしてそんなことするの?
心ではこう思う自分がいる。
きっと…したくてしてるわけじゃないんだよね?
だからいつも謝るんでしょ?

「ごめん…ごめん澪…」

『もう…わかったからっ』

あたしの額からながれる血は止まることがない。
とりあえず包帯を巻いてもらい、血のながれをおさえる。

「俺不安なんだよ…」

ぅん。
知ってるよ。

「澪がいつどこでだれと何してるか気になるんだよ…」

…ぅん。

「だから俺のそばから離れんなよ」

…。
………ぅん。
でもあたし、知ってるよ。
先輩が浮気してること。
中3の時、してるとこ見たよ。
好きだったから言い出せないで胸の奥にしまってたけど。
全部知ってるよ。