何よりも甘く切なく

下を向いていた目線を、声がした方に動かす。


「大丈夫?転んだの?」


中3にしてハデに転んだ私の後ろには、同じ中学の制服を着た男の子がいた。


ダークブラウンのストレートヘアーに、160より少し上位の身長の男の子だ。


誰……?


「えっ、あ、あの……//////」


「アッチャア………これはきちんと手当てしないとダメだね」


転んで蹲っていた場面を見られて赤面する私の横に、男の子はしゃがみ込む。


ジッと赤い血が流れる膝を見ていた男の子は顔をこちらに向け、「運ぶよ?」と言ってきた。


は……運ぶよ?