オレはただ、あそこまで純粋に人を愛せる沢賀君が……うらやましかった。


オレがずっとずっと見て見ぬフリをし続けていた事を、後輩のクセにアッサリと見抜いて指摘までした馬池君に、マジ腹立つ。


沢賀君共々、あの2人には敵わない気がした。


「オレも変わらなきゃ………な」


天井を見上げ、ポツリと呟く。


握りっぱなしだったケータイを、黙ってポケットに仕舞い込む。


いつかきっと、オレもいい恋が出来る。


今まで散々バカにして来た願望だが、まっ、悪くないかも。


1人フッと微笑んだオレの足音が、静かに響いた。





《Side -Katsuomi-》 【完】