何よりも甘く切なく

後ろから振り絞る様な声が聞こえて、立ち去ろうとしていたオレの足は止まった。


うらやましい………?


「―――何が言いたいの?」


もはや先輩ぶる事もせず、体中から電気を発して、首だけ振り返って馬池君を睨んだ。


オレが?沢賀君をうらやましがってる?


まさか、そんなのあり得ない。


あり得ないのにアホみたいな事を言って来た馬池君を睨みまくっていると、馬池君はキリッとオレを見据えた。


「アナタは本当は泉未がうらやましいんですよ。でも自分にはああやって1人の人を愛する事が出来ないから、嫉妬してたんでしょう?」