何よりも甘く切なく

「えっと……甘木先輩どこだろう?」


ここの本屋は何せ、近所で1番デカイと言われている本屋……客が結構いて、見つけづらい。


だけどまだ9時45分だし、来てないかも?


だがキョロキョロ辺りを見渡していたオレは、出入口の横に佇む小さな女の子を発見した。


「!!もう来てたんだ………っ」


急いで行き交う他の客をすり抜け、その子の元へ。


「すみません甘木先輩!オレ遅かったみたいで……」


「あっ、泉未!!大丈夫だよ。私が早く来ちゃっただけだもん」


オレに気がついた甘木先輩は、パァッと満面の笑みを浮かべた。