「だったら暫くは“甘木先輩”でいいよ。でもいつかは“胡々愛”って呼んでね?」


首を傾げてニコッと微笑みも添えてそう言うと、泉未は耳まで真っ赤っ赤。


“どうしたの?”と聞いても、教えてくれなかった。


「そろそろ帰りましょうか?先輩」


「うん」


空が少し暗くなってきたので、帰ろうとベンチから立ち上がる。


呼び捨てがダメだったのは残念だけど――――……


「泉未の手って大きいね」


「甘木先輩が小さいんですよ」


公園からの帰り道、泉未が繋いでくれた手が、とっても温かかったから………私は幸せだった。