何よりも甘く切なく

硬直して動かない頭を頑張って起動させて、オレは甘木先輩の腕を掴んでグイッと引っ張った。


「キャッ!?爽やか君!?」


「すみません、次の授業サボって貰います」


本当は受験生の先輩にこんな事しちゃダメなんだろうけど、緊急事態なんだ。


戸惑っている甘木先輩の腕を引いたまま、図書室へ。


幸い次の授業で使うクラスは無いみたいで、中には誰もいなかった。


「爽やか君……あの………」


パタンと扉を閉めて、甘木先輩を近くのイスに座らせた。


親指で涙を拭うと、先輩のホッペがリンゴ色に色づく。


カワイイなぁ……