何よりも甘く切なく

3時間目の理科が終わってからトイレに来たオレは、男子トイレの手洗い場で項垂れていた。


マジでこの透き通る水が、オレの弱さを流し去ってくれればいいのに。


そんなあり得ない考えを振り払って、トイレから出る。


「烏丸先輩や仁志荻先輩、怒ってるかな……」


2人共怒らせたら怖いらしいし、甘木先輩がオレの事話してたら――――…オレ、殴られるかも。


恐怖で背筋に悪寒が走った、その時だった。


「……爽やか君……」


「!?あ、甘木先輩っ!?」


いきなり甘木先輩がオレの目の前に現れたせいで、自分の目を疑った。