何よりも甘く切なく

ピリピリと、オレと須藤先輩の間に不穏な空気が流れる。


「あのさ沢賀君……」


先輩が何か言いかけた時、もう我慢出来ないという風にリエイがオレの前に立ち塞がり、須藤先輩の姿が見えなくなった。


「すみません先輩。早くしないとHR始まってしまうんで、オレ等もう失礼します」


リエイの声は先程までとは打って変わって、ワザとらしく低い。


“大丈夫か?”と一瞬オレの方が不安になったけど、須藤先輩は相変わらず余裕そうに笑っているだけ。


「そっ?じゃあオレも教室行くよ。それじゃあね」


そう言うと、先輩も立ち去ってしまった。