何よりも甘く切なく

この学校でオレの事を“爽やか君”と呼ぶ人は、1人しかいない。


「また会ったねーー!どうしたの?こんな所で」


今日出来たばかりのそのたった1人の人は、もちろん甘木先輩。


さっきまでそのまま下ろしていたウェーブのかかった長い黒髪は、キレイにみつあみにされていた。


「あ、甘木先輩!!」


甘木先輩が現れた瞬間、ピシッと伸びるオレの背筋。


甘木先輩は優しい笑顔でこっちに来てくれたけど、段々不思議そうな顔に変わっていった。


「あ、甘木先輩?どうしました?」


「ねぇ爽やか君……私名前アナタに言ったっけ?」