あれは私が、中学2年生の夏の話― セミの音がうるさい時期であるのに 今の私には周りの雑音は一切聞こえていなかった ただ、目の前にいる医師の言葉だけが 耳に響く 「残念ながらもう…」 しかし、 医師のその言葉を私は理解できていなかった。 残念ながら?なに? 大好きなおばあちゃんが私の目の前で 目をつぶって眠っている ただ、それだけの事 残念な事と言えば、家に帰れないことくらいだ。