散歩をして昼食を食べ終えていた。イーディは片付けのため、部屋を出た。

「雨が降りそうで降らない」

 黒い雲で覆われている状態が今もまだ続いている。

「ケヴィン、帰りは大丈夫かな?」

 そう言って、自分の言ったことがおかしいと思った。
 何ケヴィンのことを心配しているの?彼は私達を裏切った人なのだから!
 一度は心を許したけど、今はそれをしてはいけないのに。
 どうするべきなのかわからない。頭の中で整理がつかない。

「何を言っているのだろう?私・・・・・・」

 考えてはいけないと思うのに、無意識に考えてしまう。
 そんなことをしても苦しくなるだけと理解しているのに、止めることができない。
 首を振って忘れようとしたとき、外で音がした。
 それはほんの僅かな音で何の音なのか判断できないくらいだった。
 何だろう?誰かいるのかな?

「誰?イーディ?」

 それに返答することがなかったが、もう一度だけ声を出した。
 だけど何も反応がないので、気になったので外へ出たときに何かを踏んだ。
 カサッと潰れた音がして足を退けた。

「何?手紙?」

 ドアの下に真っ白な手紙が挟み込んであった。差出人はレナードからだった。

「レナード?」

 左右を見てみるが、その姿を捉えることはできなかった。

「とにかく読んでみよう」

 ベッドに腰掛け、文面を読むことにした。

「夜に行くから部屋で待っていろ」

 ただそれだけしか書かれていなかった。
 彼の手紙の書き方はいつも長文ではなかった。相手に伝えたいことだけ書かれていた。
 私が誰かに手紙を書くときはたいてい用紙の半分以上が分で埋まることが多い。
 さっきここへ来たのなら、そのときに話をすればいいのに。

「今度は何をする気なの?」

 変装が得意な彼だから仮に誰かに怪しまれたとしても、うまく話をして納得させるだろう。

「もしこれがケヴィン達だったら・・・・・・」

 夜に何の格好をしてくるのかわからないが、不審に思うのではないか。

「絶対に思うよね」

 これを二人に見られてはまずいと思い、鞄の中へそっとしまった。
 ノックの音が聞こえたので、ドアを開けると目の前の人物に驚きを隠せなかった。
 今度はイーディだと思い込んでいたから。

「久しぶり、フローラ」

 自分の部屋の前にカレン様がいることが信じられなかった。

「やっと会えたわね!」