新しい武器は使いやすい。前のものより質が良く、相性も悪くない。

「今日はこんなものかな」

 時間がある限り、魔獣を倒して自分の力を上げていった。

「街に戻ろう」

 約束がある。今から行けばちょうどいい。

「久々だから早く会いたい」

 街に入ると、私の名を呼びながら駆け寄ってきた。

「フローラお姉ちゃん!」
「ステラ、わざわざ迎えに来てくれたの?」
「うん、今日は店に行く約束をしていたから」
「ここのところ、店で食事をしていなかったものね」

 突然ステラが違う方向を見る。

「ん?」
「どうしたの?」
「今、誰かがこっちをじっと見ていたよ」

 ステラが見る方向を目で追うが、誰もいない。気配を感じなかった。

「どんな人?」
「眩しくてよく見えなかったけど、背が高かったから男の人だと思うよ。少し遠くにいたから・・・・・・」
「そう。とりあえず店に行こう。ひょっとしたら、ただ向いていただけかもしれないしね」
「うん!そうだね!」

 歩きながらもう一度後ろを向いたが、やはり誰もいなかった。
 店の中に入り、店員が水を持ってきてくれたので、それを一気に飲み干した。

「よっぽど喉が渇いていたんだね」

 ステラは笑いながらグラスを見た。

「うん、カラカラだったの」

 店員はグラスが空になったことに気づき、水を注いでくれた。

「今日、街の人達が言っていたんだけど、最近この辺で不審者を見かけるみたいなの」
「不審者?」
「うん、姿が見えないように布全体で覆っていて、少しでも人を見られると、どこかへ行くみたい」

 それって、さっきステラが見かけた人じゃないの?

「さっきの人は違うと思う。そんな格好じゃなかったよ」
「どんな格好だった?」
「うーん、騎士や魔術師の方達のような服装に見えたよ。ほんの一瞬だったから必ずそうとは言えない」
「用心するべきね」
「うん、フローラお姉ちゃんも気をつけてね」
「わかった」

 街の人達が知っているとすれば、城の人達もその情報は耳にしているのだろう。まだ何も起こっていないとはいえ、油断できない。

「何を食べようかな?」

 ステラの声で現実に引き戻された。鼻歌を歌いながら、メニューを見ている。
 この子を見ていると、拍子抜けしてしまう。

「フローラお姉ちゃん、どれにする?私、どれも美味しいことを知っているから迷うな」
「ステラ、何でデザート以外のところを開いているの?ご飯を食べていないの?」
「小さなパンを一個だけ」