「今のうちに二人で抜け出そう」
だけどそれをイーディはしっかりと聞いていた。
「このままでいいわ」
「このままってメイド服だよ?」
「平気よ。さっきの聞いたら離れるわけにはいかないわ」
「聞かないで良かったんだよ?」
「偶然聞こえたの。行きましょう、フローラ」
「ま、待って」
イーディはケヴィンに追い払うしぐさをしていた。
部屋を出て、外へ向かう途中、メイドさん達がやけに多く感じる。
みんなそわそわしながら、かなり集まってきている。
特別なお客様でも来る予定?
「メイドの方達、多くない?」
「いつもならあちこちで仕事をするけど、誰かがケヴィンのことを話したのね」
「どういうこと?」
「ケヴィンの格好を見て。私服でしょ?」
「そうね」
いつもピシッと制服を着こなしているが、今日の服装はそうではなかった。
「だからそれを見るために仕事をしないでこうして見に来ているの」
どのメイドも表情が明るく、黄色い声が止まらない。頬も赤く染めている。
みなさん、ちゃんと仕事をしてください。怒られますよ!いいのですか?
ケヴィンはそんな者達に一切構わず、早足で歩き続けた。
「ここから買い物ができるところって遠いの?」
「ううん、歩いて十五分くらいかな」
何かを思いついたのだろう。一瞬ケヴィンが笑ったように見えた。
「おんぶしてあげる」
「いらない!」
やっぱり嫌な予感が的中した。
私は子どもじゃないから。
もし、メイドさん達にそれを言ったら、倒れてしまうだろうな。
「じゃあ、お姫様抱っこ?」
「何もしなくていいから!」
「そう?じゃあ、迷子にならないように手を繋ごう」
私が何も言っていないのに、もう繋いでいるよ、この人。
歩いていくと、次々に店が見え、、驚いて言葉を失った。
小さい店から大きい店、病院、ホテルなど、たくさんあった。
「王都アイリーンはかなり広いでしょ?」
「私も最初来た頃は迷ったわ」
「ケヴィン、あれって何?ひょっとして学校?」
遠くにある白い建物を指した。すると、ケヴィンはそれを見て頷いた。
「あそこはグラディス学園で優秀な子達がたくさんいるんだよ。よくここで買い物をするよ」
「よく見かけるよね。私もあの学園に入学したかったけど、駄目だった」
イーディはしょんぼりとしていた。
「昔から頭が弱いからね」
「本人を前にして失礼よ」
「俺が悪かったよ、とりあえず回って行こうか」
最初に向かったところは書店だった。たくさんの本があり、どれも気になったが、日記に目を奪われた。
「日記だね。俺も書こうかな」
「おそろい?」
「嫌?」
「ううん、嫌じゃないよ」
「買ってあげるよ」
「でも、自分で払う」
「遠慮しない、ほら」
それらをケヴィンに渡したあと、イーディが近づいてきた。
「ケヴィン、これすべてお願い」
イーディは両手で何冊もの本を抱えてケヴィンに渡そうとしていた。それを見たケヴィンは思いっきり引いていた。
「何冊持ってきているの!?全部恋愛小説だよね!?」
「そうよ。だって先が気になって仕方がないのだから」
「だめだよ、戻しておいで」
「お願い!」
どうしよう。イーディは戻す気なんてまったくないようだ。
「イーディって浪費家?」
「そういうわけじゃないよ。ただ、一度欲しいと思ったものは譲らないタイプなんだ」
「そうだったの?」
「しかもああしてたくさんのものを欲しいと思ったときはたいてい俺に買わせようとするから」
「ある意味すごいね」
イーディはケヴィンをじっとみて買ってくれるのを待っている。
まるで小さなワンちゃんみたい。
そんな姿が可愛らしく見えて笑みが零れそうになったが、なんとか堪えた。
「後にしよう。今買ったら荷物になってしまうから」
「そうだね、重いものを持って行くのは大変だよ?」
「後ね。わかった」
素直にもとのところに置きに行った。重さのせいで少し足元がふらついていた。
イーディが見えなくなったときにケヴィンは支払いを済ませて、商品を私にくれた。
「はい」
「ありがとう」
「お待たせ、次に向かいましょう」
イーディについて行くように私達は店を出た。
だけどそれをイーディはしっかりと聞いていた。
「このままでいいわ」
「このままってメイド服だよ?」
「平気よ。さっきの聞いたら離れるわけにはいかないわ」
「聞かないで良かったんだよ?」
「偶然聞こえたの。行きましょう、フローラ」
「ま、待って」
イーディはケヴィンに追い払うしぐさをしていた。
部屋を出て、外へ向かう途中、メイドさん達がやけに多く感じる。
みんなそわそわしながら、かなり集まってきている。
特別なお客様でも来る予定?
「メイドの方達、多くない?」
「いつもならあちこちで仕事をするけど、誰かがケヴィンのことを話したのね」
「どういうこと?」
「ケヴィンの格好を見て。私服でしょ?」
「そうね」
いつもピシッと制服を着こなしているが、今日の服装はそうではなかった。
「だからそれを見るために仕事をしないでこうして見に来ているの」
どのメイドも表情が明るく、黄色い声が止まらない。頬も赤く染めている。
みなさん、ちゃんと仕事をしてください。怒られますよ!いいのですか?
ケヴィンはそんな者達に一切構わず、早足で歩き続けた。
「ここから買い物ができるところって遠いの?」
「ううん、歩いて十五分くらいかな」
何かを思いついたのだろう。一瞬ケヴィンが笑ったように見えた。
「おんぶしてあげる」
「いらない!」
やっぱり嫌な予感が的中した。
私は子どもじゃないから。
もし、メイドさん達にそれを言ったら、倒れてしまうだろうな。
「じゃあ、お姫様抱っこ?」
「何もしなくていいから!」
「そう?じゃあ、迷子にならないように手を繋ごう」
私が何も言っていないのに、もう繋いでいるよ、この人。
歩いていくと、次々に店が見え、、驚いて言葉を失った。
小さい店から大きい店、病院、ホテルなど、たくさんあった。
「王都アイリーンはかなり広いでしょ?」
「私も最初来た頃は迷ったわ」
「ケヴィン、あれって何?ひょっとして学校?」
遠くにある白い建物を指した。すると、ケヴィンはそれを見て頷いた。
「あそこはグラディス学園で優秀な子達がたくさんいるんだよ。よくここで買い物をするよ」
「よく見かけるよね。私もあの学園に入学したかったけど、駄目だった」
イーディはしょんぼりとしていた。
「昔から頭が弱いからね」
「本人を前にして失礼よ」
「俺が悪かったよ、とりあえず回って行こうか」
最初に向かったところは書店だった。たくさんの本があり、どれも気になったが、日記に目を奪われた。
「日記だね。俺も書こうかな」
「おそろい?」
「嫌?」
「ううん、嫌じゃないよ」
「買ってあげるよ」
「でも、自分で払う」
「遠慮しない、ほら」
それらをケヴィンに渡したあと、イーディが近づいてきた。
「ケヴィン、これすべてお願い」
イーディは両手で何冊もの本を抱えてケヴィンに渡そうとしていた。それを見たケヴィンは思いっきり引いていた。
「何冊持ってきているの!?全部恋愛小説だよね!?」
「そうよ。だって先が気になって仕方がないのだから」
「だめだよ、戻しておいで」
「お願い!」
どうしよう。イーディは戻す気なんてまったくないようだ。
「イーディって浪費家?」
「そういうわけじゃないよ。ただ、一度欲しいと思ったものは譲らないタイプなんだ」
「そうだったの?」
「しかもああしてたくさんのものを欲しいと思ったときはたいてい俺に買わせようとするから」
「ある意味すごいね」
イーディはケヴィンをじっとみて買ってくれるのを待っている。
まるで小さなワンちゃんみたい。
そんな姿が可愛らしく見えて笑みが零れそうになったが、なんとか堪えた。
「後にしよう。今買ったら荷物になってしまうから」
「そうだね、重いものを持って行くのは大変だよ?」
「後ね。わかった」
素直にもとのところに置きに行った。重さのせいで少し足元がふらついていた。
イーディが見えなくなったときにケヴィンは支払いを済ませて、商品を私にくれた。
「はい」
「ありがとう」
「お待たせ、次に向かいましょう」
イーディについて行くように私達は店を出た。