「ねーねー、ちーちゃん。」


衣装合わせの日、近くにいたちーちゃんに、声をかけた。

あくまで、持ち寄った私服か、
親からの借り物を着てみるっていう、
みんながバラバラの衣装なんだけど。



「あっお疲れ様でーす」

刑事役ってことで、お父さんのスーツを着てた私は、
みんなにこーゆー風にいじられてた。




「うん、お疲れ。
って、もういーから!」


「はいはい、んで、なにー?」


「ネクタイの結びかた、教えてほしいんだー★」


「え…分かんないよー……
男子に聞いてみたらいいじゃん♪」





キョロキョロして、
誰か探してくれるちーちゃん。

めっちゃいい子!!って感動してたら…



「あっ
おーい横山くーん!」


大道具つくってた彼を、ちーちゃんは呼んだ。




「ごめーん。
あやかにネクタイの結びかた、教えてあげてー!
私、分かんないし、台本手直ししなきゃいけないんだー!!」


早口で言って、横山くんが振り返る前に、どこかに行ってしまった。


頼んでくれて、嬉しいんだけど…

えっちょっなんでよりによって!?


と軽くパニック。


話したことが無いのにー




「おーー、了解」


返事をした頃にはちーちゃんはいない。







今でも覚えてる
初めて君と話した日。