勇人は、袋に入れてもらった花かごをぶら下げながら、乗り付けてきた軽自動車に乗り込み母の入る病院へと向かった。


病院の部屋のドアを開けると、そこには痩せ細った母絵美が眠っていた。


勇人が絵美のベットの横に腰をかけて座ろうとしたとき、絵美はめを覚ました。

「勇人、来てたの?」

絵美は、か細い声で勇人に声をかけた。

「あっ母さん、起こしちゃったね…」

ベットの横に置いた花のプレゼントを袋から出した。

「これ…。おめでとう…。お誕生日だから初めて買ってみた…」

勇人は照れ臭そうに絵美のベットの脇の棚の上に花を置いた。


絵美は勇人からのプレゼントに胸を熱くしたのか、うっすら目に涙を浮かべていた。


絵美は、夫と別れてから勇人を女でひとつで大学まで育て上げたにもかかわらず、昨年乳ガンが発見され2度の手術をして、又再発の為に3週間前から入院をしていた。

もう多分生きれるのもあと僅かだと悟っていた。

そんな中勇人を残し死ぬのは勇人がふびんでならないのである。

「勇人からのプレゼントなんていつぶりかな〜?…。ありがとう」

勇人に心配させないために、明るく元気に振る舞った。


勇人は、絵美とたわいもない話をして面会の時間までいて、面会終了の病院を