キラキラ雪が舞う。大粒の雪
そこに君がいるような気がして…

傘をつぼめて右手を差し出した

手のひらに落ちる雪は手の中で溶けてゆく…




「いらっしゃいませ。」

麻央は高校に入ってから花屋さんでアルバイトを始めた

花屋と行ってもホームセンターの中の園芸コーナーの一角である。

「すいません…」

麻央に声をかけてきたのは牧野 勇人 19歳である。
勇人は長身の今時のイケメン男子である。

麻央は少し緊張気味に…
「は、はい。」

勇人もまた照れ臭そうな表情で…

「お誕生日用の花がほしいんですけど、お願いできますか?」

「アレンジでよろしいですか?」

勇人は正直花など買いに来た事がなかったので、アレンジで…
と言われてもわからなかった…

「はい。5千円ぐらいで作ってください…」


麻央もここ半年ぐらいでようやくアレンジをやらせてもらい、社員の関口に認められたばかりである。

「お花の種類などは?…」
勇人は少々戸惑った感じで
「あ〜。取り合えずバラを…。あっピンクのこれを入れて下さい。」

といいながらピンクのスプレーのバラを指した。

「わかりました。あとはバラと合いそうな花を入れて作りますが…良いですか?」


勇人は笑うことなくうなずいた。


「お待たせしました。」
10分後に出来上がったアレンジメントの花はバラを中心とした見事に可愛らしい花である。

麻央の顔にも、満足げな笑みが浮かんでいた。

「こちらでよろしいですか?…ラッピングをこの中から選んでもらいたいのですが…」

勇人はよくわからなかったが、出来上がりのアレンジメントのイメージでピンク系のラッピングシートを選んだ。

「リボンもこの中から選んでいただけますか?」

「じゃ〜赤で…」

「はい、では今お包みしますので…」