「でも担任もアレだよね。普通気付くでしょ!みたいな(笑)さすが新任だね。」
「さすがじゃねーよ、全っ然!!!」
なんで教室に生徒が残ってんのに気づかないわけ?!
「瑚珀の緊張感のなさを見習うべきだな。」
そう言うとりっちゃんはまたププッと笑った。
「あー、でもびっくりしたなー。琥珀の名前呼ばれてんのに返事しないから、あれー?って思ってたら入口で返事してんだもん。」
「だから!もういいって!!!」
あーあ、こんなはずじゃなかったのに....
おかげで入学早々間抜けな女の子ってゆう最悪なレッテルを貼られてしまった。
「はあ〜、おなかすいた!そろそろ帰ろー。」
「おいっす。」
りっちゃんの気まぐれにはもう慣れましたとも。
あたしは重い腰をよっこらしょと持ち上げた。
「あっ、あの子じゃない?さっきの....」
「あ〜!遅れて来た子?」
すれ違った女の子2人が振り返って言った。
明らかあたしのことですね。
「そーそー!えっと、なんだっけ?
なんか珍しい名前だったよね。」
「うん。なんちゃらコハクじゃなかった?」
「あっ!それだ!コハクちゃんだ!」
ちょっと。
噂すんのはいいけどもうちょいボリュームおとしてよ!
まる聞こえだっつの!
てゆうか、こんなとこで自分の名前が仇になるとは.......
まあ“コハク”なんてそうそういないもんね。
はあ......と肩を落とすあたしの隣でりっちゃんが悪魔のように笑っていた。

