プロローグ 1992年1月6日 あれは、体が凍えるほど寒い、冬の朝のことだ。 美はいつも通り、ゴミを出しにいった。ちょうど家のまえの、人通りが少ない寂しい道を、左に曲がったときだ。 「オギャー!オギャー!」 「え?」 今たしかに、赤ちゃんのこえが聞こえた。きっと母親を呼んでいるのだろう。