「……聞くつもりはなかったんだ。

……でも杏奈が地面に崩れこんだから、

俺、声を掛けようとしたんだ……。

そしたら……聞こえてきて……」


ギュッと目をつぶった海斗。

……今にも泣きそうなんだね……。


「……とにかく、病院に行こう」


あたしは海斗を慰める事もできないまま、

ただ一言つぶやいた。