「私、梨奈にも同じことしたの。中学でも何回もした」

海咲ちゃんが話しだした。

私は黙って聞いている。

「好きって言う感情がはっきり分かんなかった。皆に置いてかれてる気がして怖かった」

そんなある日、海咲ちゃんの友達が話を持ちかけて来たって。

たまたま祐樹と話してるところを写真に撮られて。

それがキスしてるように見えて、面白がった友達はそれを海咲ちゃんに見せた。

『これ、皆にメールでまわそうよ!』

『いいね、それ!』

海咲ちゃんは嫌だって言ったけど、もう遅くて。

止めた時にはある人に回してた。

その人がまた別の人に回して。

数日だった頃にはクラス全員に回ってたんだって。

私に回ってこなかったのは、良かったのかもしれない。

「中学校で友達の彼氏とったりとかして、それが悪いって気付いてたから。もうやめようって思ってたのに」

海咲ちゃんは、気付いてた。

自分がやってることに。

「でも、もしかしたら彼氏ができて本当に恋愛できるかもって思ったら……ちーちゃん利用してた」

止められなかった自分が嫌だって、海咲ちゃんは泣きそうな顔をしてた。

「本当にごめん。今は反省してる」

海咲ちゃんはそれから、ずっと謝り続けた。

海咲ちゃんは本当に反省してるみたい。

そんな姿を見てると、何故か泣きそうになった。

私だって恋愛なんてわからなかったし。

同じ気持ちだったんだなって思えた。

「もういいよ。怒ってないから」

「本当に?許してくれるの」

「うん、でも……梨奈にも謝ってね」

梨奈の方が怒ってるから、梨奈にも謝ってもらわないと落ち着かない。

「分かったわ。私からちゃんと話す」