「私が祐樹君を好きだって、知ってるよね?」

私はコクンと頷く。

「じゃあ、何で目の前であんなことするの?」

やっぱり。

海咲ちゃんは完全に怒ってる。

「私は……祐樹と付き合ってるの」

正直に言ったがいいよね。

そう思って話した。

「意味わかんない。親友を裏切ったの!?」

怒りたいのはこっちだって。

どうして裏切ったって思われるの?

好きな人が同じだからって、そんな扱いしないでいいじゃん。

だいたい……

「親友じゃないよ!そんなこと言われたくない!」

海咲ちゃんだって、私を利用してたじゃん。

祐樹に近づこうと。

「ちーちゃんがそんな人だとは思わなかった」

そのまま立ち去ろうとした海咲ちゃんの手を強くつかんだ。

「私は祐樹が好きだって分かったの。気持ちを伝えただけ……」

言い終える前に、目の前に携帯が出された。

それは海咲ちゃんの携帯。

「これ、知ってる?私と祐樹君」

「知ってるよ、でもこれ……キスしてるように撮っただけじゃん」

そう言うと、海咲ちゃんは固まった。

もう騙されないよ。

2回も見て騙されるなんて……

「噂流したのも海咲ちゃんでしょ?そこまでして祐樹を彼氏にしたかったわけ?」

私、祐樹のこと分かるから。

バカで単純で、サッカーしか頭になくて。

それなのに、頭は良くて。

優しくて笑った顔が子供で。

人のことを本当に大切にして、大事なものはとことん守る。

「祐樹は騙されないよ」

そう、バカな祐樹でも騙されない。

「何で、いつも私ばっかり……」

海咲ちゃんは力が抜けたのか、その場に座り込んでしまった。

「少しだけ聞いてくれる?私のわがまま」