はぁはぁと肩で息をしながら走り続けた。

疲れたけど、休憩なんてする余裕がない。

いや、しようとしなかった。

だって早く会いたいから。

やっとの思いで正門にたどりつく。

そこに、携帯を片手にボケーっとしている姿を見つけた。

……いた。

「ゆう……」

「ねぇ、答えてよ」

名前を口にした時、誰かが同時に話しだした。

ここからは見えなかったけど、もう1人いた。

「何回言ったらいいのよ……っ」

「言わねぇって言ってんだろ」

言いあいをしているのは、祐樹と海咲ちゃんらしい。

「関係ねぇだろ。さっさと帰れば?」

祐樹の冷たい態度。

ここは出て行くべきだろうか。

でも、海咲ちゃんがいるから行きにくいな……

「本当に好きなんだって!……祐樹君が」

「だから、無理っつってんだろ」

……祐樹、困ってるよね。

よし。

「祐樹!海咲ちゃん!」

2人の前に出るとすぐ、祐樹と目があった。

そして一瞬にして祐樹の腕の中。

「心配させんなよ……何回電話したと思ってんだ?」

だんだん、抱きしめる力が強くなっていく。

本当なら、今すぐにでも昔のことを謝りたい。

「ちーちゃん」

私ははっとして、すぐ祐樹から離れた。

「ごめん!一緒に帰ろうって言ってたのに……」

「お前っ」

「早く帰ろ!じゃ、後で連絡するよ」

一方的に話を終わらせ、海咲ちゃんの腕を引っ張った。

海咲ちゃんは抵抗する様子もなく、一緒に走りだした。

曲がり角を曲がったところで、ようやく止まった。

「どういうこと?」

……これはややこしくなったよね?