「今日一緒に帰ろうよ」

使わなかったタオルを片づけていたところ、海咲ちゃんが言って来た。

今日は祐樹と帰ろうと思ってたけど……

祐樹とのこと、ちゃんと話しておいたがいいよね。

海咲ちゃんの目をまっすぐに見つめ、頷く。

「ありがと!」

そう言い残してベンチに戻って行った。

「ちーちゃん、本当に一緒に帰るの?」

話を聞いていたのか、入れ違いで梨奈が来た。

「うん。祐樹のこと話すために」

「あまり言いたくなかったけど……」

梨奈はためらうように話しだした。

「海咲と祐樹が付き合ってたって、勝手な噂流れてるの」

……また厄介事がきた。

「誰が流したのかは知らないけど……ほら」

そう言って梨奈は自分の携帯を見せてきた。

そこには海咲ちゃんと祐樹がキスをしているかのような写真。

海咲ちゃんが祐樹の腕を掴んでいる写真など、2人の写真があった。

「結構前なんだけど、メールで送られてきたの」

祐樹、私のこと本気なんだよね。

海咲ちゃんのことどうでもいいって言ったよね。

そう思うと、目の前がかすんできた。

「ごめん!でも、話しておいたがいいと思って……」

梨奈は私と祐樹を別れさせるために、これを見せたんじゃないって分かってる。

分かってるけど……!

梨奈に1人になりたいと告げ、私は部室に行った。

綺麗に並べられた机といす。

窓側の席に行って座った。

本当は泣きたくてたまらない。

せっかく自分の気持ちに気付いた。

祐樹と両想いになれた、のに。

「どうしてっ……」

やっぱり神様は私に味方してくれないんだ。

私は不幸の道をたどるしかない。

机に顔をふせていると、そのまま眠ってしまった。