星に願いし恋

「じゃ、行くか」

祐樹が前を歩いて、私は数歩後ろを歩く。

先に祐樹がドアを開けると、待ち構えていたように海咲ちゃんが祐樹に飛びついた。

「待ってたんだよ?早く行こっ」

祐樹の手を握ろうと、海咲ちゃんは手を伸ばす。

が、祐樹がその手をよけた。

「何したいわけ?手繋ごうとするとか、俺の気も考えろよ」

……なんて冷たい対応。

海咲ちゃんも全然諦めないな。

「ごめん……でも、急がないと」

「じゃ、先に行ってれば」

そう言うと、祐樹は私の手を握って来た。

そしてズンズンと進んでいく。

海咲ちゃんなんて気にもせずに。

海咲ちゃんが、祐樹を迎えに来たとは思えない。

きっと自分から探しに来たんだろう。

少しでも多く、祐樹のそばにいるために。

その気持ちはわかるよ。

でも、海咲ちゃんはやりすぎだよ。

「祐樹……」

「気にするなって。俺は構うつもりないから」

私を気遣ってくれてるんだよね。

「急ごうぜ!」

さっきまでとは違う、すごく笑顔の祐樹。

靴を履き替えると、私の手を引いて走り出した。

部室に着いたときにはすでに5時半を回っていた。

「はぁ、はぁ、はぁ……祐樹、早いよぉ」

「わりぃ。急がないと、キャプテンに怒られるじゃんか」

「完全に遅刻だけど?」

後ろから聞こえた声はキャプテンのもの。

「「綾太先輩!遅れてすいません!」」

2人で声をハモらせて謝った。

「お前ら、どんだけ仲いいんだよ。今日は許してやるよ」

いつもだったら、もっと何か言われそうだけど……

今日は気分が良さそうな綾太先輩。

すでに来ていた、不機嫌そうな梨奈に聞いてみる。

すると急に明るい顔になって。

「綾太先輩と瑞季先輩が付き合い始めたんだって!」

綾太先輩と瑞季先輩が!

私はグラウンドを見つめる瑞季先輩に駆け寄る。

「先輩!おめでとうございます!」

「ちーちゃん!ありがとう」

笑顔があふれる瑞季先輩。

私が思うに、瑞季先輩が告白したんだろうなって。

でも、両想いだったってところかな。

本当に2人とも幸せそう。

「ま、ちーちゃん達もおめでただけどね」

「梨奈っ!何で知ってるの!?」

「ちーちゃん遅くて教室に見に行ったら……ね」

みられてたなんて……

本当に恥ずかしい。