「それ本当!?」

次の日の昼休み、昨日の電話のことを梨奈に話していた。

梨奈は海咲ちゃんが嫌いだって言ってたから、気にすると思って。

「昨日話したんだ」

「そっか……でも私続けるから!ちーちゃんや修平いるし、サッカー好きだから」

私を気遣ってくれたのかな?

「一緒に頑張ろうね!」

「もちろん!」

良かった……それを聞いたら安心した。

「ちーちゃん、おはよう!」

後ろから聞こえた声は話題の本人。

こういうのを「噂をするとやってくる」って言うんだよね。

「おはよう、海咲ちゃん」

声が聞こえた瞬間、梨奈は顔をあげた。

「海咲……」

ただ名前を呼んだ。

「梨奈もおはよう。話したの久しぶりね」

でも会話はそこで途絶えた。

梨奈が無視したから。

それを見て、海咲ちゃんはため息をついた。

「じゃあね、ちーちゃん。放課後一緒に行こうね」

そう言うと自分の席に行った。

「ごめん、変なとこ見せて」

梨奈は反省してるみたい。

私は首を横に振った。

嫌なんだから、仕方ないよね。

自分にそう言い聞かせた。

「今日も2人?」

顔を上げると、そこには祐樹と光哉がいた。

「祐樹っ!」

私は思わず立ち上がった。

だって……昨日あんなに元気なかったのに。

「もう元気だから、心配すんなよ。迷惑かけたな」

そう言って私の頭に手を置くと、くしゃっと髪を乱した。

「ほんとごめん」

思わず泣きそうになった。

小さくつぶやいた祐樹の声があまりにも優しくて。

本当に、祐樹は優しすぎるよ。

この光景を梨奈達以外に見られているとも知らずに、私はほほ笑んでいた。