手に持っていた携帯が着信音をならした。

電話は海咲ちゃんから。

久しぶりに話すような気がする。

「もしもし」

『ちーちゃん?海咲だけど』

「久しぶり」

海咲ちゃんの声って、こんなに低かったっけ。

『私、祐樹君好きだって言ったよね?』

確かに言われた。

『私を裏切って、祐樹君と付き合うなんてこと……』

思わず身震いをした。

怒ってる気がする。

何か会話を聞かれた?

私、悪いことをした?

『ま、ちーちゃんがそんなこと、するわけないか!』

今の海咲ちゃんは、はっきり言って怖い。

「私さ……」

『ちーちゃんって颯人君と付き合ってるんだよね!なら大丈夫か!』

一方的すぎるよ。

私だって言いたいことがあるのに。

『祐樹君のことが心配になったから。私もサッカー部のマネになろうかなって思ってるの!』

それって……祐樹目当て、だよね?

胸が苦しい。

祐樹の話を聞いてるのがこんなにも辛いのは初めて。

まるで、海咲ちゃんと祐樹が付き合ってるみたいで。

『顧問の先生とは話したから。明日からよろしくね!それじゃ』

「ちょっとまっ______」

言い終える前に切られてしまった。

「どうして……」

私だって祐樹を好きって気付いた。

なのに……

好きかどうかまで、決められないといけないの?