途中で投げ出すのは絶対にいや。

……ってわけでもないけど、ある程度やり終えたい。


「本当!嬉しいわ」

現サッカー部マネージャーの友枝瑞季(ともえだみずき)先輩がやってきた。

3年のキャプテン、木本綾太先輩が友枝先輩に事情を説明し、興奮した先輩が放った言葉。

そんなに嬉しかったかな?

「サッカー部って人気NO.1の部活なんだけど、仕事大変で入る人がいなかったの!」

本当に助かるーとまたもや興奮し始めた。

「案外、楽しそうだろ?」

ヘディングをしていた祐樹がボールを手に持ち、話しかけてきた。

「……別に」

「嘘つき」

こんな会話をしていた私達を遠目に見ていた先輩達が。

「やっぱお前ら、付き合ってるだろ」

笑顔で、いや、ニヤニヤしながら聞いてくる。

いい加減にしてほしい。

だから、違います。

そう否定しようとした、けど。

「実はそーなんでーす」

……祐樹が認めてしまった。

「本当だったのか!」

いえ、違います。

完全なる誤解です。

心の中でそう叫び続けた。

だって、あまりの驚きに声が出ないから。

「_________っていうのは嘘で」

……こいつは何がしたいんだ。

殴りたい気持ちを必死でこらえるのに精いっぱいだ。

「何だ、また祐樹の冗談か」

またって……

何回もしてるなら、先輩達も信じないでよ!!