星に願いし恋

部屋に戻ってすぐ携帯を手にした。

アドレス帳から見慣れた名前を探す。

通話ボタンを押して耳に当てる。

何回かコールがなった後、電話に出た。

『もしもし、千尋?』

「遅くにごめんね……颯人」

そう、電話の相手は「彼氏」である颯人。

「話があるんだけど」

『何?』

急に別れ話は持ちかけにくい。

遠慮してしまい、言葉が出なかった。

が、颯人に急かされようやく口にした。

「……好きな人がいるの」

たったこれだけの言葉。

それでも、すごく重要な言葉で。

颯人はやっぱり困っているかもしれない。

そう思ったが答えは意外なもの。

『お前が気付くずっと前から知ってる』

私の気持ちを知ってたの?

私はどれだけ鈍感だったんだろう。

『俺じゃダメ?祐樹の代わりにはならないの?』

確かに、今までは颯人に助けられてきた。

でも今は違う。

祐樹が助けてくれる。

「ごめん……祐樹は祐樹。颯人も颯人だから、代わりにはなれない」

『やっぱりダメ、か』

ごめん、ごめんね颯人。

それしか言えないの。

「本当にごめん」

颯人は責めなかった。

普通に認めてくれた。

『お似合いだと思う。お幸せに』

そう言い残すと、通話を終わらせてしまった。

私もゆっくりと携帯を耳から離す。

……これで、良かったのかな。

祐樹にはいつ伝えよう。

祐樹と付き合いたい、幸せになりたい。

こう思う気持ちもあるけど、でも。

「祐樹に早く気持ちを伝えたい」

この気持ちの方が強かった。