あまりに突然の出来事で、私は数分の間動けなかった。

祐樹が……

何で告白するの、この状況で。

疑問しかわかない。

立ち上がっていたが、またベンチに座った。

これ以上たっていたら倒れそうだったから。

「祐樹っ……」

そう呟いた時のこと。

声が聞こえた。

「千尋!」

誰かが近付いてきてるけど、はっきりわからない。

目に涙があふれていたから。

「こんなところで……何してたの?」

それは低い、優しい声……修也兄ちゃんだった。

「修也、兄ちゃん……」

「修平も探してる。早く家に帰ろう?」

私が泣いているのがわかると、修也兄ちゃんはそれ以上聞かないでいてくれた。

ただ頭だけ縦に動かす。

すると修也兄ちゃんは私の手を握り、立ち上がらせてくれた。

「何があったか知らないけど、何かあったら言えよ」

ただ嬉しかった。

それだけでいてくれたのが、嬉しかった。

「あ!」

家の門の前に立っていたのは修平。

「心配したんだぞー」

そうは言うものの、笑顔でいる修平。

気遣ってくれてるのかな。

申し訳ないよ……

私って、バカだね。

祐樹の気持ちに気付こうとしないで、自分の気持ちを抑えて。

本当は分かってる自分がいた。

祐樹の気持ちにも、自分の気持ちにも。

自分の好き勝手で、今まで祐樹を傷つけてきたのかもしれない。

「私……」

「我慢するなよ。正直でいないと、自分が壊れるぞ」

こう言ったのは修也兄ちゃん。

もう、本当にその通りで。

今まで我慢しすぎたんだ。

その瞬間、お母さんの言葉を思い出した。

『我慢しても苦しいだけよ?素直になれたら、見える世界も広がるわ』

やっと意味がわかったよ。

「ありがと」

私は祐樹を助けたい、支えたい。

祐樹のそばにいたい。

祐樹と話したい。

一緒に笑いあいたいし、涙だって分け合うよ。

私は「祐樹が好き」だから。

他の誰かじゃなくて、祐樹ただ1人なんだ。

本当の気持ち、見つけたよ。