夕食が終わり、今は3人でクイズ番組を見ている。

1人の時はあんまりテレビは見なかったから、3人となると楽しく感じる。

「これは、俺が正解だろ!」

「いや、俺だし。修平間違ってるって」

修也兄ちゃんと修平は、どちらの答えがあってるか言いあいをしている。

こんな言いあいでさえ、私にとっては新鮮で。

ピンポンッという正解の音に反応したのは修也兄ちゃん。

「ほら!俺が正解って言ったろ?」

「っくそー!次は俺が当ててやる!」

諦めが悪いな……修平って。

でもそれが楽しくて。

2人の意外な面がたくさん見れる。

「千尋もやろうぜ!」

そう言われたものの、疲れていたから寝ると伝えた。

せっかく来たばかりなのに、悪いなと思って謝った。

でも2人は優しく笑って頷いてくれた。

お母さんの仏壇に向かって小さな声でおやすみなさいと言って、リビングを後にした。

階段を上り、自分の部屋の正面で立ち止まる。

ドアが閉まっているからか、それでも下からはわずかに声が聞こえる。

今日はいろんなことがあったなって実感する。

ドアノブに手をかけ、ドアを開けようとする。

「あ、」

リビングに携帯を忘れてきてしまった。

もしかしたら梨奈達から連絡があるかもしれないし、取りに行かないと。

階段を駆け下りリビングに入ろうとする。

少し開けたところで中から声が聞こえた。

「修平、それ本当か?」

「今祐樹が言ったんだって」

祐樹のことで話をしているらしい。

別にかまわないかなと思い、さらにドアを開けようとする。

でも、聞こえた言葉がドアを重くするかのように、止まらせた。

『祐樹のじいさん、さっき亡くなったって』

祐樹のおじいさんが?

「祐樹、相当落ち込んでるみたいだった。何しろサッカー教えてくれた……祐樹にとっては師匠みたいなもんだからな」

サッカーの師匠か……

祐樹、大丈夫かな。

連絡……って言っても携帯はこのドアの向こうにあるんだから。

さっさと取って、連絡してみよう。

勢いよくドアを開ける。

「あ、千尋」

何事もなかったかのように修平が声をかけてくる。

「携帯忘れちゃってさ」

「ほら」

修也兄ちゃんが近くにあった私の携帯を手渡してくれる。

「ありがと。じゃあ、おやすみ」

そう言うと、2人とも返事を返してくれた。

急いで階段を上り、部屋に入る。

携帯を開けると同時に、ディスプレイに「祐樹」の文字が映し出される。

私より先に祐樹が電話をかけてきた。

通話ボタンを押すとすぐに声がした。

『……千尋?』

その声はいつもの祐樹ではなく、抜け殻のような声になっていた。

「大丈夫?たまたま話聞いちゃって……」

『俺、無理かも。落ち込み方が半端じゃないんだよ』

聞いただけで分かるよ、そんなの。

「いつもの祐樹じゃないもん。すごく落ち込んでるのがわかる」

『なぁ、今から会えねぇか?』

なんて突然のこと。

「でも今病院じゃ______」

『頼む。この前の公園で待ってる』