星に願いし恋

映画館まではこの場所から10分くらい。

4人で歩いて向かう。

光哉と颯人は2人で何か話してるから前を歩いてる。

で、後ろを私と祐樹で。

対して話すこともなく、黙ったままの私と祐樹。

ふと横の方を見ると。

……なんと。

梨奈が修平と手を繋いで歩いているではないか。

私の視線に気づいたのか、梨奈が私に向かって手を振ってくる。

邪魔しちゃ悪いと思ったけど手を振り返す。

その動作に気付いた修平は、梨奈の手を引いたままこっちに向かって走ってくる。

「よ、皆!どうしたんだ?」

修平達に気付いた光哉と颯人は後ろを振り向く。

「お前らこそ何してんだよ」

ニヤニヤしながら聞く光哉。

「見たら分かるだろうが!」

恥ずかしいのに聞くなよって言ってる修平は顔が赤い。

その隣にいる梨奈まで赤い。

いくら恥ずかしいと言っても、手はしっかり握られている。

この2人……

「ちーちゃん達は?」

「今から映画見るの」

恋愛もの!?だなんて梨奈ははしゃいでる。

このメンバーで恋愛ものなんて見ないよ。

ましてや、祐樹がいる中で……

映画の内容を話すと、何故だか修平が盛り上がり。

「俺等も行こうぜ!」

「いいね!行こうよ!」

何故か、梨奈と修平も一緒に見ることになった。

まぁ、女子1人でいるよりかはいっか。

何だかんだで映画館に到着。

開演5分前で席に座った。

今日は人が少なかった。

が、あえて後ろの方の席を選んだ。

颯人が後ろが言いってうるさいから。

前列に修平、梨奈が座る。

2人隣がいいんじゃないかっていう私達の気遣いから。

で、後列に左から光哉、颯人、私、祐樹の順番で座る。

光哉と祐樹は端っこがいい、颯人と祐樹は離して座るべきって意見があったからこの席順。

映画が始まって数十分後。

隣から寝息が聞こえてきた。

……颯人が寝てる。

以外だなぁ、颯人が寝るなんて。

時間なんて始まってまだ全然たってないのに。

そっと颯人の手の上に自分の手を置く。

こんなことしたの、小さいころ以来。

颯人の手って、こんなに大きかったっけ?

って!私ってば何してるんだろう。

こんなことして……

照れて顔が赤くなりそうになる。

上映中で良かった。

周りが暗いし皆映画に夢中だから、見えないし。

私の顔をスクリーンに向ける。

ちょっと見ない間に物語は進んでいて。

今は人質が取られたところ。

このアニメの映画、初めてみたな……

案外面白いかも。

祐樹側の肘かけに手を置く。

すると急に手を握られた。

まるで、待ち構えていたみたいに。

でもこれは祐樹も考えていなかったみたいで。

2人同時に手をよける。

「(ごめん!)」

私は小声でそう言った。

祐樹も何か言おうとしたみたいだけど、私の手をバッと握り、さっきの状態に戻された。

「え……」

思わず声に出てしまい、慌てて握られていない左手で口を押さえる。

離そうとするけど、祐樹に上から握られてるから私の力じゃ離せない。

祐樹……何がしたいの?

そんなことされたら……

顔が赤くなるの、止められないじゃん。