…………
しばらくの間、沈黙が続いた。
私にとっては予想外の言葉だったから、1分くらい沈黙が続いたように感じる。
でも実際はほんの数秒。
先輩達の言葉で現実に引き寄せられた。
「マジで!マネ希望か!」
「そんなに嬉しいんですか」
あははと笑う祐樹はまるで人ごとみたいにしてる。
「ちょっと、誰もそんなこと言ってないし」
否定したにも関わらず、先輩たちは全く聞いてない。
「ほんとに嬉しいよ!今、3年のマネがいるんだけど転校することになってんだ」
困ってたんだよな、と変わらず笑顔の先輩。
「いや、だから……」
「名前、何て言うの?」
またもや無視する。
「……村本千尋です」
「千尋か、分かった!千尋ちゃん、これからよろしくな!」
やるとか一言も言ってないし……
よりによって何でサッカー部のマネージャーに。
「どうしてくれんのよ」
「いや、先輩達が話進めて……」
「もとはと言えばあんたのせいでしょ!」
ごめん……といかにも反省しているような謝り方。
「ったく……」
「でも絶対やめんなよ!……マネのことで先輩達悩んでたんだよ」
どんだけ先輩思いだよ。
そうつっこみたくなる。
誰かのためにここまでして……
よく分からない。
「それ、本当だよね?」
「ん、あぁ……」
「……分かったよ」
仕方ない。
こんなところでやめんのも面倒だし。
やるだけやってみようか。

