星に願いし恋

それから1人で歩いて行った。

もしかしたら、祐樹に会うかもしれないと思ったけど会うことはなかった。

祐樹の奴……意味わかんない。

予定通り9時45分に到着。

やっぱり、祐樹はすでに来ていた。

あんなこと言われたから……気まずいじゃん。

「早かったね」

いかにも今会ったような素振りを見せる。

「は?……まぁな」

一瞬顔をしかめたが、空気を読んだように私にあわせる。

ずっと無言のまま待ち続けた。

無言のせいか、周りの声がはっきりと聞こえてくる。

「美男美女じゃん!」

「すっごくカッコいいんだけど!」

「私、話しかけてこようかなー」

……祐樹に悪いと思い、少し距離をとる。

「ちぃ、何で離れるんだよ」

私の顔を不機嫌そうに見つめながら、腕を掴まれた。

だってさ……

「祐樹に悪いじゃん」

「何でだよ」

そう言うと、掴んだ腕を勢いよく引っ張られた。

あまりに強く引っ張られたせいで、祐樹の胸に飛び込むような形になった。

……中学生のころは私の方が背が高かったのに。

いつの間にそんなに背が高くなったの?

私が見下ろしてたのに、祐樹に見下ろされてる感じがする。

ちょっとだけ祐樹が高いだけなのに。

「あ、光。颯人」

祐樹が口にした名前。

……なんてタイミングが悪い。

「お前ら何してんだよー」

光哉は冗談半分で聞いているが、颯人の目は本気そのもの。

「いや、ちぃがそこで躓いて転びそうになったから」

すぐ下の方にあった段差を指差して冷静に答えた祐樹。

「あっそ」

颯人はそう言い放つと、私の手を握って引っ張った。

「大丈夫なの?」

「うん。祐樹が受け止めてくれたから」

さっき空気を読んでくれたから、私も同じようにしないとね。

「ならいいけど……」

納得してないような颯人の顔。

本当のこと言ったら怒られそうだし。

何より、庇ってくれた祐樹に失礼じゃん。