星に願いし恋

「と、いうことで」

部活が終わってから、梨奈に事情を説明した。

「決めたんだね、ちーちゃん。私はそれでいいと思うよ」

納得した梨奈はうんうんと頷いてくれる。

祐樹達にはまだ話してない。

やっぱり、一番に報告するのは祐樹だったかな?

そう思っていると誰かから背中を叩かれた。

「帰るぞ?」

祐樹が颯人と光哉と一緒に立っていた。

「あ、うん。じゃあね梨奈」

「まったねー!」

まとめていた荷物を手にとって祐樹の隣に行く。

「私ね、一緒に暮らすことにした」

さっき考えていたことを祐樹に伝えた。

ニコッとほほ笑んだ祐樹は、良かったなって言ってくれた。

本当は祐樹のおかげなんだけどね。

修也兄ちゃんと話した内容をだいたい教えた。

「3人暮らしになるんだな。楽しそうだな」

「祐樹だって、そのくらいで暮らしてるでしょ?」

当たり前だと思って聞いたけど、祐樹はためらうかのように頷いた。

……私、ダメなこと聞いた?

「千尋、今のほんと?」

前を歩いていた颯人が後ろを振り向いて聞いてくる。

「良かったじゃん!」

なんだか安心。

皆納得してくれたから。

ほほ笑む私をジーっと見つめてくる颯人。

「はや、と……何?」

きいたものの、無言のまま。

急に近づいてきたかと思うと、腕を掴まれた。

「ちょっと来てよ。2人はここで待ってて」

祐樹と光哉は立ち尽くしたまま、私はただ引っ張られていった。

曲がり角を曲がると、少し狭い路地に入った。

そして、顔に手を添えられる。

「我慢できねぇや」

「……はや――――――」

名前を言い終える前に、ふさがれた唇。

数秒の間、動けないでいた。

あまりに突然過ぎて頭が真っ白。

「颯人、何し、て……」

ふいに聞こえた優しい声。

祐樹だ。

今はダメ、こんなところ見られたくない!

でも、そう思っている間に走り寄って来た。

私と颯人は強引に離される。

「颯人!お前、何してんだよ!」

血相を変えた祐樹は颯人の胸倉をつかんでいた。

「お前に関係ねぇだろ、祐樹」

「祐樹っ、やめて!」

こんな祐樹の姿は初めて見た。

「お前ら、こんなとこでやめろ」

ゆっくりと、でも強引に光哉は祐樹と颯人をなだめた。