星に願いし恋

「修也兄ちゃん、決めました」

ベンチに座っている修也兄ちゃんに話しかける。

修也兄ちゃんは立ち上がって私の手をひき、誰にも見えないところに連れてきた。

「私、一緒に暮らす。やっぱり1人は悲しいから」

その瞬間、修也兄ちゃんの目が見開かれた。

「それ、ほんと?」

コクンと頷く。

「良かったぁ……断られたらどうしようかと」

大げさに溜息をつく修也兄ちゃん。

安心してくれて私も良かったよ。

「明日は土曜日だし練習ないし……明日にでも荷物運ぶか!」

いやいや、準備してませんけど?

「修也兄ちゃん達の家に行くの?」

「ああ、そうだよ。……千尋の家がいいか?」

でも、引っ越すのは私1人だし。

私の家に来るってなったら、部屋はあるけど引っ越しが2人になるから。

「やっぱり、俺等が行く!ためらいあるだろう?」

私の心を呼んだかのような修也兄ちゃんの反応。

「本当にいいの?」

当たり前じゃないかって胸を張る。

心強いって、そう感じた。

でも、修也兄ちゃん達の今住んでる家どうするのかという疑問を聞いてみた。

「ばあちゃんから借りてたんだ」

遠くに住んでる自分の子供がもうすぐ帰ってくるから、その人に貸すんじゃないかってことだった。

なら、心配はないね。

今日と明日の午前中で荷物をまとめて、午後から運び始めるってことになった。

そんな短時間で準備できるか分からないけど、修也兄ちゃんは何とも思ってないみたい。

荷物の移動は、近所の若いお兄さんに頼むらしい。

私も部屋の準備をしておかないとな。

お母さん。

明日から、3人暮らしができるんだ。