星に願いし恋

教室に戻った直後、梨奈に呼びとめられた。

「修平に聞いたんだけど……」

修平、一緒に暮らすことまで言ったのかな。

そこまで言わなくても、と少し嫌な気がしてしまった。

「あー、今考え中」

「一緒に暮さないの!?」

でも……まだ答えは出ない。

いや、出せないの。

簡単に決めることじゃないから。

「ごめんね?急かすような言い方しちゃって……ゆっくり考えなよ」

困った顔をしていた私に優しく言葉をかけた梨奈。

私は自分の席に着く。

名字は変えないといけないのかな。

それとも、修也兄ちゃん達が変えるのかな?

変えた場合……「赤石千尋」

出席番号2番になるし。

絶対慣れないだろうな。

頬杖をつき窓の外を眺める。

外は、私がおかれた状況を表すかのように、強い風がビュンビュン吹いている。

……6月だよね?

最近は雨があまり降らず、風も強くなかった。

この様子を見ると、急に冬になったみたい。

入学してからあっという間じゃん。

何もしてないような感じだけど、すでに6月。

あ、もうすぐ誕生日だ。

7月7日、七夕の日。

お母さんが亡くなってから4回目の誕生日。

今年もお祝いしてくれる家族はいないだろう。

……でも、修也兄ちゃん達と暮らせば。

修平と同じ誕生日なわけだし、修也兄ちゃんもお祝いしてくれる。

誕生日だけじゃなくて、普段から楽しく過ごせるし……

ダメだな。

焦れば焦るほど、答えが遠くなっていく。