星に願いし恋

「よく分からないけど、なんかあったら相談乗るから」

「ありがとうございます」

それだけ言って、先輩はベンチの方に行った。

修也先輩って優しいんだなって実感した。

何しろ話したことがなかったから、どんな性格か知らなかったもん。

先輩のせいだよ。

少し涙がこぼれそうになった。

「ちーちゃん!?どうしたの」

休憩が終わるころ、うつむき加減で戻って来た私を見て、梨奈が悲鳴をあげる。

そして、よしよしと背中をなでてくれる。

「どうしたの?超泣きそうじゃん」

「……祐樹がね、ドリンク受け取ってくれなかったの。それで悲しくなって」

そう、祐樹が原因なんだ。

悲しくなったと言っても、結局は祐樹が……

悲しさと同時に怒りまでこみ上げてきそう。

「でもね、修也先輩が優しくしてくれた。それで本当に泣くかと思って」

少し笑顔で話した。

「そっか……大丈夫?私のせいで、ごめんね」

「ううん。梨奈のせいじゃないから」

梨奈は悪くないよ。

ちゃんと私のことを考えてくれたんだから。

「修也先輩、優しいんだねー。修平、そこまで優しくないかも」

そっか、修也先輩と修平って兄弟だもんね。

やっぱり性格は違うのかな。

修也先輩、確かに優しかった。

気持ち分かってくれたんだもんね。

「梨奈!お前、俺のこと話してただろ」

練習が終了していた部員が片付けをしている中、修平がボールを持ってベンチの方に来た。

「別に、話してないよー」

何も知らないという風に、顔をそらす梨奈。

でもその顔は少し赤くなっている。

照れてるんだなってすぐわかる。

「後で聞きだしてやる」

偉そうに言った修平も少し赤い。

……どんだけ仲がいいんだろう、と感心してしまう。

「あーもー!修平ってば、そんなことまで聞いて……」

嬉しいんだよね、修平に話しかけられたのが。

今もずっと修平のほう見てるし。

なんか少し、ほんの少しだけ。

梨奈が遠くに行ったように感じてしまう。

「千尋ちゃん」

後ろから聞こえた声は修也先輩だった。

「話したいんだ。一緒に帰らない?」

「いいですけど……」

「じゃあ決まり。なるべく2人で帰ろうね。正門で待ってるから」

それだけ言って、片づけに戻って行った先輩。

話ってなんだろう?

さっきのことかな。