星に願いし恋

「ね、ちーちゃん。祐樹君に、ドリンク渡してきたら?」

いや、喧嘩的な状況になってるのに無理だよ。

もっと喧嘩ひどくならない?

そう思っているのも知らずに、梨奈は私にドリンクを持たせ背中を押す。

「え、ちょっとま……!」

ちょっと待ってって言おうとしたけど、遅かった。

言い終える前に祐樹の前に立っていたから。

祐樹はもちろん、私もびっくり。

こうなったら仕方ない。

「あの、祐樹、ドリ______」

「坂野、お前貰えよ。喉乾いたーって喚いてたじゃん」

私が言い終える前に祐樹が話しだした。

祐樹にあげようとしたのに、祐樹の後ろにいた坂野君に声をかけた祐樹。

……何で?

ドリンクあげようとしただけじゃん。

「ありがとな、村本」

坂野君とは、この人だったんだって少し驚く。

以前、私が苦手だと思っていた人だったから。

呼び方も名字に変わっていた。

でも、それ以上に驚いた祐樹の反応。

無言でもいいから、強引にとってもよかったら、受け取ってほしかった。

何故か、悲しみがこみ上げてきた。

私は手を握り締める。

今にも泣きそうだったから。

「どうした、村本」

優しい声が聞こえて顔をあげる。

「修也先輩」

今にも泣きだしそうだったんだろう、私は。

先輩はそれ以上、何も聞かなかった。

ただ優しく頭の上に手を置いた。

これだけの動作だけど、すごく温かさを感じた。