「ねぇ、ちーちゃん。午後から祐樹君と全然話してなかったよね?」

何かあったの?と梨奈に聞かれた。

それが、私にも全くわからない。

何もしてないんだけどな……

皆がサッカーボールを追いかけて走りまわっている中、私と梨奈はベンチに座り話していた。

「分からないんだよね……なんか怒ってるみたいだし」

偶然目に入った祐樹を見る。

今の祐樹はいつもと変わらない、普通の祐樹だった。

「何々?どうかしたの?」

2人で考えていた時、瑞季先輩が来た。

「先輩!もう大丈夫なんですか」

「うん!心配かけてごめんね。ぜんっぜん平気だから!」

良かった。

先輩、元気になったんだね。

「で、祐樹とは?」

思い出したように聞いてきた先輩に梨奈が説明する。

聞き終わった後、手を顎に当て考え始める。

「んー、千尋ちゃんが嫌なことしたとか?知らない間に」

知らない間に嫌なことを。

どうしてもわからない。

私は朝から祐樹と話してたし……

昼休み終わってから全然話してないんだよね。

でも、昼休みは私、祐樹とは話してないし。

「もーやめた」

「ちーちゃん!?」

だって、分からないことを考えても余計に分からないんだもん。

梨奈も納得してくれた。

「さぁさぁ!祐樹のことは置いといて、マネの仕事しよっか!休憩に入るからね」

先輩の言葉に2人そろって返事をした。