私は今、屋上に来ている。

「わりぃな、呼びだして」

「別にいいけど」

何の用かは知らないけど、念のため光哉とは時間差で教室を出てきた。

梨奈から声をかけられたけど「用がある」って言ってきた。

とりあえず座れって言われて、近くのベンチに座る。

その近くの地面に光哉は座る。

「お前、好きな人いる?」

急に何を言い出すかと思えば……

「別にいないけど」

「じゃあ、祐樹のことはどう思う?」

祐樹に何の関係があるのさ。

そう思いながらも答える。

「普通に友達」

当たり前のことを答えたはずなのに、胸が痛む。

これは病気か?

「颯人と祐樹だったらどっちがいい?」

「それは……」

颯人は幼いころからの付き合いだし、私が信頼してたし。

祐樹は、今一番頼れる存在で……

どっちかなんて決められない。

「俺的にはね、お前は祐樹が好きなんだろうなって思った」

……私が、祐樹、を?

そんなことはないだろう。

祐樹はただ頼れる存在で、私を助けてくれてて。

「俺さ……こんなこと言うのもなんだけど」

空を見上げながら話す光哉。

「お前のこと、好きだったんだよね」

……突然の告白。

一瞬頭がパニックになるが、すぐに落ち着く。

こんなの慣れてるもんね。

「でもそれは中学2年くらいの話し。今は好きな人はいない」

そっか。

さっきのは過去のことだったんだね。

でも、今更なんで……

「問題!何で俺はお前への気持ちがなくなったでしょー」

「私が嫌いになったから」

「いや、嫌いになったら今こうして話さねぇだろ」

即答した私に対して、光哉も即答。

違う、か……

じゃあ何で。

1分くらい考えたけど答えが出なかった。

見かねた光哉は話す。

「あのな、俺と仲良い奴がお前のこと好きって相談してきたんだよ」

光哉と仲のいい人が……

「それも2人!俺とその2人は親友でさぁ……正直、俺は千尋と友達でもいいかなって思えた」

光哉よりも、私に対する気持ちが強かったんだって。

だから光哉は諦めた。

どちらかを応援するわけでもなく、2人とも対等に。

「俺ってバカだから、恋愛がよく分からなかった。お前が初恋だったんだ」

初恋か。

私の初恋は、颯人だろう。

光哉には悪いけど、光哉を気にしたことはなかったかな。

「でも、2人のためだった……後悔はしてねぇな。2人ともずっと思い続けてたし」