「ゆうきー!」

修平がそのまま直行したのは祐樹のところ。

「なん______」

「お前はどうなんだ」

祐樹の返事も待たずに修平が聞く。

たぶん恋愛のこと聞いてるんだろうな。

「俺?……もう好きな人変えようかなって」

好きな人変えようかなってことは……好きな人がいたってことだよね。

私、鈍感すぎる。

祐樹に好きな人がいたなんて。

「お前……本気かよ!」

「だって、気付いてもらえてないし、人気だし」

祐樹って苦しい恋してるんだな。

そう感じてしまう。

表情が暗いから。

どこかせつなそうな顔をしている。

「ぜぇーったい!……絶対、信じねぇから!」

急に修平が大声を出した。

「あんだけ好きって言ってたのに……」

修平の方が今にも泣きそうな顔をしている。

祐樹の好きな人って誰だろう。

祐樹がそんなにも好きな相手なんて……

その人も幸せだね。

こんなに思ってもらってるって。

「祐樹君の好きな人って誰?」

同じ疑問を抱いていた梨奈が聞いている。

「……言えるわけねぇだろ」

またもやせつなそうにする祐樹。

なんか、ズキズキしてきたじゃん。

「……なるほどね」

梨奈がうなずく。

今ので分かったのかって感心してしまう。

「諦めたらダメだよ!」

……友達の恋にそこまで必死になるの?

よく分からない。

「でも、それって祐樹が決めることじゃん」

この会話に入って来た颯人。

祐樹をまっすぐに見つめて話す。

同時に光哉も来た。

「本当に諦めるわけねぇよな?」

「若干本気かもしれねぇ」

祐樹はあっさり認めてしまう。

これが私にとって、いいのか悪いのかはわからない。

でも、祐樹が幸せになればそれでいいのかなって思う。

「祐樹」

颯人が話しだす。

「お前がそう決めたなら、俺はそれでいいと思う」

「颯人……」

火花が散りそうなほどにお互い向き合っている。

でも祐樹は目をそらした。

「別にいいよ。お前の自由にしたら」

「最初からそのつもりだよ」

話を聞いている限り。

祐樹と颯人の好きな人は一緒ってことなのかな?

それなら、颯人にとっては好都合だし。

祐樹は本気で諦めるつもりなのかな。

なんかモヤモヤしてるのが消えないよ。

「ホームルーム始まるから」

そう言い残して祐樹は自分の席に着く。

他のみんなも自分の席へ。

その時、千尋、と名前を呼ばれた。

「光哉、何?」

「後で話したいんだけど」

少し笑顔で言う光哉だけど、なんだか悲しそう。

「いいよ」