一日が終わりあっさり放課後に。

たいして、部活に入ろうという気持ちはない。

だから入らない。

自分の意思に従うから。

下駄箱で靴とシューズを履きかえる。

そのまま校舎を出ようとした時。

「ちぃ。帰るの?」

後ろから呼びとめられた。

この呼び方はすぐにわかる。

祐樹だ。

「帰るけど、何か用?」

「いや別に」

部活入ってなかったっけ?と続ける。

「面倒だから入らない」

「ふーん」

自分から話し始めたのに、自分から沈黙している。

自分が呼びとめたくせに……

沈黙を破るために、この場から逃げるために口を開いた。

「もう帰っていい?」

「歩きだろ?」

「……そうだけど」

私が質問してるのに完全に無視してる。

「じゃあ来いよ」

そう言うと、私の腕を掴んできた。

「ちょ、祐樹!」

「いいから来いよ!暇なんだろ?」

「暇って……帰るって言ったでしょ!」

私の言葉を無視して勝手に走りだす。

下駄箱には下校しようとしていた人達が集まっていたから、この場を目撃された。

「じゃあな、光!颯人!」

どこに向かって叫んでるのか、叫んだ方を見ると……

何気なく手を振っている、光哉と颯人が立っていた。

「待ってよ、祐樹!どこ行くの」

この質問も無視した祐樹。

こいつって、こんなにも無視するのが好きだったっけ?