先輩からだいぶ離れたところでやっと止まってくれた。

「もう、祐樹、ってば……」

息が乱れたまま話しかける。

「体力ねぇなー。もっと頑張れ、マネージャーさん」

そう言ったかと思うと急に笑い出した3人。

「それにしても、さっきは凄かったなー!」

「先輩の反応が面白かったー!」

そんなにすごいことはしてないつもりだけど……

「やっぱお前、すげぇよ!あんな勇気俺達にはないし」

なんか恥ずかしいじゃん。

そんな言われるために言ったんじゃないし。

「マジうける。先輩困ってるだろうな」

先輩に対して、どんだけ笑ったら気が済むのか。

先輩もなめられたものだ。

「なぁ、ちぃ」

深刻な顔をした祐樹が近付いてきた。

「ちぃって呼ばれるの、嫌なのか?」

……勘違いしてるし。

あれは、先輩に呼ばれるのが嫌なだけで……

「ちぃって呼び方は、祐樹しか許可してないし」

その瞬間祐樹の顔が赤くなっていく。

「なるほど」

それだけ言うと正面を向いて歩きだす。

祐樹の肩に手を置いた光哉は何か言ってる。

「バカが!んなわけねぇだろ!」

……何があったのか。

「祐樹、面白いだろ」

「あ、うん」

思わず頷いてしまった。

確かに、面白いんだけどさ。

この祐樹というたった1人の存在に、支えられてたのかも。