なんとなくだけど、3人が私に合わせてくれてる気がする。

私って歩くの遅いかな?

3人はいつも通りっていう風に会話しながら歩いてる。

「な、ちぃ!」

急に祐樹にふられた。

「え、何が?」

「聞いてねぇのかよー」

そう言いながらも笑ってる。

「昨日の部活で全然話さなかったよなって」

「あ、そうだね」

そういえば昨日は喧嘩してるみたいになってたな。

自分的には結構苦痛だった。

「千尋、正式にマネになったんだろ?」

「うん」

綾太先輩が無理やりやってたもんなと笑ってる。

「俺がなんだって?」

……うそでしょ。

皆そういう顔をしていた。

綾太先輩だ。

綾太先輩が急に後ろにいたから。

「綾太先輩ぃ!?」

「よ、祐樹、ちぃ」

「おはようございます……」

祐樹の顔が一瞬にして曇った。

さっきまで笑顔だったのに。

って私もたぶん暗い顔になってると思うけど。

「先輩、どうしたんですか?」

「ん?ちぃと一緒に行こうかなと」

私の方を見ながらほほ笑む先輩。

あー、面倒だな。

……また隠すの?

こんなんだから、正直になれない。

でも、言っていいことと悪いことがあるし……

ううん。

これは私の望んでないことなんだから。

「あの。先輩」

「ちぃ、どうしたの?」

一呼吸おく。

先輩の目をまっすぐ見据えて。

「私は一緒に行きたくありません」

……あぁ、言ってしまった。

でももう取り消せないし。

「約束してないのに来ないでください。それに、その呼び方。やめてください」

一気に言い終えた。

先輩は別として、他の3人まで驚いている。

「あー、ちぃ?」

「だから、その呼び方嫌なんです」

次の言葉に困る先輩。

私は先輩から目を離さない。

ここで目をそらしたら、自分が逃げてる感じがするから。

その時、誰かに腕を掴まれた。

「すげぇよ、お前は」

耳元で呟かれたその声は、祐樹だった。

「行こうぜ、光、颯人!」

2人の返事も聞かずに、走り出す祐樹。

「待ってよ!まだ聞いてないし______」

「関係ねぇよ!行くぞ」

思わずため息が出る。

祐樹って……やっぱり無視が好きなわけ?