「そこらへんに座ってて」

「おう」

適当に返事した祐樹は近くにあったソファに座る。

その隣に光哉と颯人も座る。

私はキッチンに行って冷蔵庫から飲み物を出す。

コップに注いで、リビングに戻る。

「はい」

「サンキュー」

一番に飲み物を取った颯人はそれを口に流し込む。

祐樹と光哉も同じように。

一気に飲み干しそうだったから、その間に仏前に。

お母さんのこと知られたくないけど、仕方ないよね。

ここにいればいつかはバレるんだし。

いつもと同じ動作をし手を合わせる。

おりんがなる音を聞いて、皆こっちを見る。

祐樹が立ち上がり近づいてくる。

「これって……ちぃの、お母さん?」

「うん。そうだよ」

「お母さんって……」

「亡くなったの。6歳の時に」

後ろを振り向くと唖然としている。

颯人をのぞいては。

颯人は知ってるもんね。

私のお母さんのこと。

「お母さんね、病気で亡くなったの。大好きだったのに……」

ヤバい。

思い出したら泣けてくる。

泣いたらダメだ。

こんなところで泣いたら……

「泣いても何も言わねぇよ」

祐樹が放ったこの言葉。

頬を涙が伝った。

あぁ、何年振りだろう。

涙を流したのは。

どうやっても止まらないこの涙を、流してはいけないとせき止めてきた。

それが今崩れ、大粒の涙になった。