星に願いし恋

「颯人君がこんなにひどいなん______」

「はっやとー!」

「…………」

2人とも、いや私も沈黙する。

こんな状況の中、誰がノコノコ入れるかって。

入って来たのは。

「……祐樹」

祐樹のことは中学に入ってから知った。

そして、この時に祐樹の印象は決まった。

こいつは空気が読めないんだなって。

「お前が全然来ないからわざわざ迎えにって、えぇ!?」

この女の子のことがちょうど隠れていて見えなかったらしい。

「失礼しましたー」

と言って、出て行こうとした祐樹を颯人が止める。

「いや、遅いし。てか______」

「ほんとっごめん!気付かなかった!」

「……お前はいつから空気が読めるようになった?」

空気が読める?

この状況で?

颯人って、今の出来事で頭がおかしくなったんじゃ……

「ちょうど良かった。帰ろうぜ。じゃあ……本当にごめんな」

さっきは悪かったって言って立ち去ろうとした颯人。

祐樹が女の子の前に来て。

「ごめん、颯人困ってたから。あんな親友の姿見てらんないから」

小さな声でそう言ってるのが聞こえた。

女の子は未だに泣いている。

いつまで泣いているのか。

失恋ってのをしたことがないから、よく分からない。

颯人と祐樹は私のいるドアの方から帰ろうとしていた。

でも私はそれに気付かなかった。

「……千尋。見てたのか?」

「あ、うん……見るつもりはなかったの」

その瞬間、颯人に抱きしめられた。

「あんなこと言うつもりはなかった。でもあの女子が______」

「分かってる」

それだけ言って抱きしめ返した。

「それ以上言わないで」

この2人の様子を、祐樹は黙って見つめていた。