颯人は幼馴染みたいなもの。

親同士が仲良かったから、小さい頃はよく遊んだ。

そして、こんな約束もした。

『他の人を好きになるな』って。

私は半分冗談みたいな感じだったけど、颯人は本気だった。

今でも私を好きってことも聞いたことがある。

でも、私のお母さんが死んだ。

そのことで全てが狂ってしまった。

私が祖父母に引き取られたから颯人と会えないし、颯人の住所も知らない。

電話番号なんて知らないから連絡もできない。

小学校に入学しても、学校が違ったから会えない。

私は会いたかった。

小さいころ、颯人だけに心を許せた。

いいすぎかもしれないけど、友達なんて形だけ。

このころにはこの考えができていた。

そんな颯人なら、この気持ちを一番に理解してくれるって思ってた。

どんなに願っても会えなかった。

そう思ってたのに。

奇跡が起きた。

中学校に入学した時。

やっと会うことができた。

でも、それでは遅かったんだ。

私は前のように前向きにはなれなかったし、逆に暗い性格になっていた。