部活終了。

祐樹のあのプレーのことは片付け中の今でも話題に。

「ほんと、祐樹君カッコよかったね!」

「そうだね」

梨奈もそのことばかり。

どうかしたら、梨奈って祐樹のこと好きなんじゃって思うくらいに。

「ねぇちーちゃん。綾太先輩と付き合ってるの?」

……何聞いてくるんだ。

「……何で?」

「だって先輩と仲良く話してるし、さっきだって……」

あぁ、隣にいたもんね。

「付き合ってないよー。ただ祐樹のことを______」

ん?

祐樹のことを話してるって言おうとしたね、私。

祐樹のことって、さっきしか話してないし。

……いや、話したな。

前にも祐樹のことを。

「って、あー!!」

私、何で祐樹のことばっかり。

「どっどうしたの、ちーちゃん」

急に叫んだ私に対して、心配してるのか怯えてるのか、小さな声で話しかけてくる。

「いや、なんでもないよ」

「なんでもないことはないでしょう!」

バカだな、私って。

祐樹のこと、好きみたいじゃんか。

違う。

私の好きな人は祐樹じゃない。

『颯人』なんだ。