あっという間に時間が過ぎ、もうすでに放課後。

あれから祐樹とは何も話せないまま。

1人で部室に行こうとすると、誰かに呼びとめられた。

「えっと……赤石先輩、ですよね?」

「そうそう。覚えてたね、修也先輩でよろしく」

綾太先輩が言ってたけど、修也先輩と親友なんだよね。

仲良いんだな。

「祐樹とはどう?」

いや、だから付き合ってないし……

「付き合ってませんよ」

「祐樹のこと好きでしょ」

「好きじゃないです」

どうして祐樹のこと言ってくるかな……

この先輩も綾太先輩みたいな性格してるんじゃ!

そう思ったけど、修也先輩は違った。

「まぁ、人から言われても嫌だしね」

「……え?」

「人から、どうだこうだって言われても嫌でしょ。気持ちわかるよ」

確かに、先輩の言ってることは正しい。

先輩もこんな気持ちを味わったってことだよね?

こんなことを話していると、部室についた。

ふと隣を見ると、同時についた2人がいた。

それは話題になってた「祐樹」と……

クラスメイトの「赤石修平」。

修平とは、何度か話した程度。

名字がいやらしく、無理やり名前にさせられた。

「よ、祐樹。修平」

「……ちわーっす」

祐樹は私を見ながら先輩に挨拶を返した。

が、修平の方は返さない。

「兄ちゃん。何千尋と来てんだよ。ナンパかぁ?」

「んなわけあるか。一緒に来て何でナンパになる」

兄ちゃんって……

もしかして。

「修也先輩と修平って、兄弟なの?」

「「あぁ」」

2人声をハモらせて答えた。

確かに、よく見たら似てるかも……

2人そろってサッカー部ね。

この2人もきっと仲がいいんだろうな。